北欧では自然が生活に深く根付いており、暮らしの中で四季を感じる工夫がなされています。冬はキャンドルやインテリアで温もりを、春夏はお花や緑で命の息吹を楽しむ。自然に感謝し、共に暮らすという価値観をもっています。
家の中の時間が長くなることから、インテリアを明るくカラフルなものを採用したりして、長い冬の家の中での生活を楽しみ、自然を共存しているのがとても素敵だと思います。
スウェーデンで大切にされている「Fika(フィーカ)」は、ただのティータイムではありません。コーヒーや甘いものを囲んで、おしゃべりをしたり、ひとり静かに本を読んだりする「心の休憩時間」。
この時間にテーブルに添えられるのが、可憐な野花や季節のブーケ。香りと色彩が心を落ち着け、日々の忙しさから解き放ってくれます。
マリメッコの花柄、リサ・ラーソンの動物たち、アルメダールスの植物モチーフ。北欧のデザインやアートには、花や自然がたびたび登場します。
それは、自然を日常に取り込むという文化のあらわれ。自然を敬い、ユーモアと温かさで表現するデザインは、見る人の心をやわらかく包んでくれます。
絵柄の中の花々もまた、北欧の人々の感性と暮らしを映し出しているのです。
北欧の人々は、にぎやかさよりも静かな時間を愛します。日の出とともにゆっくり始まる朝、フィーカの時間、夜に灯すキャンドル。そんな暮らしのリズムの中に、花は自然に存在しています。
飾るためではなく、心に寄り添うために置かれた花。それは、暮らしの風景をそっと整える「北欧らしさ」の象徴でもあります。
北欧デザインが愛される理由のひとつは、「使いやすくて美しいこと」。たとえば、北欧の食器や雑貨は、日常にすっとなじむシンプルさがありながら、色や形に少しだけ遊び心があります。
日本の伝統的な工芸や、ミニマルな美意識と似ているところがあり、違和感なく取り入れられるのも魅力のひとつ。毎日使うものだからこそ、目にやさしく、手に心地よいものを——その感覚は、北欧と日本に共通するところだと思います。
北欧と日本。遠く離れた場所にあるけれど、暮らしに対する想いや自然との向き合い方、丁寧に生きる姿勢には、不思議なくらい共通点があります。
だからこそ、北欧のデザインや文化が、私たちの日常にやさしくなじみ、ほっとする存在になっているのかもしれません。